【ご注意】 この小説には18歳未満の方が読むのに相応しくない描写を含んでいます。 18歳未満の方の閲覧を一律に固く禁じます。 また、18歳以上であっても、性的描写に対して不快感や嫌悪感を抱く方は、閲覧をご遠慮ください。 →[ i n d e x ] |
誕生日には、メイド服を着て | ||
2000.10.08初出 / 2000.12.30発行「FAKERHOLIC」所収 | ||
text and edit by 成瀬尚登 | ||
☆
「琴音ちゃん」 そう言って浩之が手渡したものは、琴音の肩幅ほどの四角い箱だった。 「お誕生日、おめでとう」 「わあ……ありがとうございます、浩之さん。覚えていてくださったんですね」 琴音はまぶしい視線で箱をながめ、そして浩之を見つめた。 ああ……と、浩之は熱視線に耐えきれず、照れ笑いをして目を逸らした。 「あの、中は何ですか?」 「あててごらん」 「では……」 琴音は急に目を閉じて集中しだした。 「……洋服のようですね……」 その言葉に、浩之はあわててそれを制止した。 「待った待った、琴音ちゃん!」 すると、琴音は瞳を開け、ふふっといたずらっぽく浩之に笑いかけた。 「嘘ですよ、見えません」 浩之はきょとんとする。 「へ? だって、今さ、洋服って……」 「カマをかけただけですよ」 「そうか……あははは」 浩之はただ笑うしかなかった。 「明日、この服を着て、浩之さんのおうちに遊びに行っていいですか?」 琴音は愛おしそうに箱をぎゅっと抱きしめた。 「もちろんさ、いつもの時間に待ってるよ」 浩之は大きくうなずいた。 ☆ そわそわしながら浩之はリビングでテレビを見ていた。 3連休の最終日。前日、その前日は琴音と一緒に過ごした。 そして、今日も……。 ”ピンポーン” チャイムが鳴ると、浩之はオーバーアクション気味に立ち上がって、玄関口へと駆けた。 ドアを開ける。 そこには……薄手のコートにその身を包み、恥ずかしそうにうつむいている琴音の姿があった。 「琴音ちゃん、いらっしゃ……」 そう言うが早いか、琴音はその脇をすりぬけて、浩之の家の中にすべりこんだ。 「琴音ちゃん……」 ドアの鍵を閉めながら振り向くと、琴音はすこしだけ抗議の表情をみせて、浩之をにらんでいた……かわいらしく。 「や、やあ……」 「ひどいです、浩之さん……」 「ま、ともかくあがって、あがって。とりあえず、俺の部屋へ行こう」 愛想笑いをして、浩之は琴音の肩を抱いた。 「恥ずかしかったんですよ……本当に、もう……」 すがるように、琴音は浩之にしなれかかった。 部屋に入って浩之はベッドに腰を下ろす。 琴音は立ち止まると、コートのファスナーを下ろしはじめた。 「……着てきました」 しゅるりと音をたててコートを脱ぐ。 濃紺のワンピースにフリルのついた白いエプロン。 「そうそう、これも……」 琴音は白いカチューシャを取り出して髪に載せた。 「浩之さんは、こういうのが好きなんですか?」 それは紛れもなくメイド服だった。 「……浩之さん!」 「あ、ああ……」 その艶姿に見とれていた浩之であったが、琴音の声で我に返った。 「ごめん。よく似合うよ、琴音ちゃん」 笑顔でそう言うと、琴音はうれしそうに浩之の前でくるりと回った。 「こっちにおいでよ」 はいと応え、琴音は浩之の隣りに寄り添うように座った。 「でも、浩之さん、ひどいです。周りの人にばれていないか、すごく恐かったんですよ」 「わりい、わりい。どうするのかなって、ちょっと楽しみだったんで……」 「試したんですね」 「いや、だから……ほんとうに、その……」 「着てきますよ。だって……浩之さんが私にくれた服なんですから」 「琴音……」 じっと見つめる琴音の視線。それに吸い込まれるように、浩之は琴音の顔に顔を近づけた。 「ん……っ」 そして、名残惜しそうに、そっと唇を離す。 「何回目かな」 「何がですか?」 「この休みでさ、何回キスしたかなって」 「それはですね、7回です」 こともなく、琴音は言った。 「へ?……マジ?」 「はい。最初の日は、海辺で1回とお別れのキス。昨日は、会ったときに駅でキスされて……水族館で1回、公園で1回、それとお別れとおやすみのキスをしたので……」 浩之は顔を赤くした。もちろん7回もしていたという事実もあるが、何より琴音がはっきりと覚えているのが恥ずかしく思えた。 「私、キスされるの、好きですから……」 そして、琴音は恥ずかしそうに、そう付け加えた。 「じゃあ、もう1回、いい?」 「はい……」 瞳を閉じて、琴音が唇を突き出す……。 わずか3分の間に2回目のキスをした。 「……ところで、浩之さん。この服なんですが」 ん?と問い返すと、琴音は立ち上がって浩之の前に立った。 「よくサイズがわかりましたね」 「まあな。琴音ちゃんのことなら、ぜんぶお見通しなんだよ、俺は」 「でも、サイズだなんて、私、浩之さんに教えたことはありません」 「そりゃさ……何回、抱いたと思ってるんだ」 バツの悪そうにそっぽを向いて、浩之は言った。 「だいたいわかるって、サイズくらい」 「そうだったんですか。でも……」 琴音はその場でひざまづき、すねるような瞳を向けた。 「ひとつだけ、サイズが合わないところがあったんです」 「え? どこ?」 まじまじと琴音の服を見つめる浩之。 すると、琴音は浩之の手をとり、おもむろに自らの胸へと押しあてた。 引き締まった堅さが感じられる。 「こ、琴音ちゃ……」 「……きついです。こんなに小さくありません」 少しだけムキになったように、ぎゅうぎゅうと胸に手を押しつける。 「あっ……だ、だってさ、そういう服って、普通、キツめなんじゃねえのか?」 とっさにその言葉が口に出る。 琴音はすっと立ち上がった。 「そんなことありません。確かめてください」 「た、たしかめるって、おい……」 琴音は目を閉じて集中する。 いきなり布ズレとファスナーの下りる音がしたかと思うと、次の瞬間、琴音のメイド服のワンピースの肩がずれはじめた。 「おいおい、そんなことで力を……」 「……じゃあ、脱がせてください」 琴音の瞳が開き、妖しさにゆらりと揺れる。 浩之は息をのんだ。 立ち上がって、琴音の身体を抱き、背中に手を回して、ファスナーを最後まで下ろした。 ワンピースの肩をずらせると、琴音の白くて華奢な肩があらわれた。 袖から腕を抜くと、服はそのまますべり落ち、琴音の腰のところでとまった。 その姿に、またも浩之は息をのむ。 白い肌に白いブラジャーという、あられもない艶姿と、その下を覆い隠す濃紺のスカート。 そのコントラストに、浩之は魅せられたように琴音を見つめた。 琴音はうながすように胸を突き出す。 胸の谷間にあるホックを、ていねいに外す。 すると、ふるんと乳房が揺れ、ブラジャーは大きく開いた。 「どうぞ」 伏せ目がちに琴音は言う。 ああ、とだけ応えて、浩之はそれを手におさめた。 「……大きくなった気がする」 浩之の手の中におさまるほどだった琴音の幼い乳房。だが、いまそれは手からこぼれるほどにふくらんでいることに初めて気づいた。 「はい。浩之さんが……大きくしてくださったんですよ」 その言葉に返答できず、そのまま幾度となく撫でる。 「あっ……」 手の中で、やがて琴音の固くなったつぼみがはっきりと形づくっていた。 浩之はひざまづくと、手を離して、そのつぼみに口を付けた。 「あっ……だめ……」 舌と歯で、その感触を楽しむ。 「噛んじゃダメです……!」 「この堅さが好きだな……」 「……もっと噛んでください……ああん……」 琴音の求めるままに、歯をたてて白い胸を蹂躙する。 そのうちに、こらえきれなくなったのか、琴音の脚ががたがたとふるえだし、手を浩之の肩についた。 「じゃ、座ってよ、琴音ちゃん」 琴音をベッドに座らせ、自分は床の上に腰を下ろす。 スカートの裾をつまみ、ゆっくりとめくり上げていく。 白いガーターストッキング。ひざ上までの白いタイツの清楚さが、かえってその妖艶さを感じさせているように思えた。 そして、琴音のショーツに手をかけ、それを下ろそうとする。 だが、それはガーターベルトのベルトの部分に引っかかってしまった。 「これは、このベルトの上からはくんだよ」 「ごめんなさい。今度から気をつけます……」 「それは、これからも、その服を着てくれるってこと?」 「はい……ご主人さま」 思わず聞き逃しそうになって、浩之はあわてて問い返した。 「ご、ご主人さま?」 「はい、琴音は……浩之さまの忠実なメイドです」 琴音の口調は、溶けてしまいそうなくらい、熱っぽかった。 「じゃ、じゃあ、これから、お仕置きだな、琴音」 「はい、すいませんでした、ご主人さま……」 浩之はタイツを止めているクリップを外し、ショーツを取り去った。 クレバスにそって若草の萌えるだけの琴音のその部分があらわになる。 「脚を開……け、琴音」 命令口調にまだ慣れず、たどたどしく浩之は言う。 「はい、ご主人さま……」 琴音はベッドに片足をついて、ひざを開く。 琴音の熱い花びらが、浩之の目の前でゆっくりと咲きだす。 桃色の可憐な花弁の奥から、蜜があふれ出す。 これ以上ないくらいに脚を開くと、反対の足もベッドについて、浩之の前にすべてをさらけ出した。 「琴音ちゃ……琴音、こんなに濡らして……」 浩之は琴音のひざをとると、顔を花弁に近づけて、琴音の蜜を吸い出した。 「あ!……ああ……ダメです、恥ずかしいです……」 わざと音を立てて、吸い出し、舌で舐めあげる。 「いやっ、音を立てないでください……あ……ん……はあ……」 琴音の息遣いが、そのうちに切ないそれに変わってくる。 「そろそろ……欲しいんだろ」 敢えて意地悪い言葉で問いかけると、琴音は火照った頬を見せ、こくんとうなずいた。 浩之は立ち上がると、ズボンのベルトに手をかけた。 切なさに耐えきれないような琴音の視線が、その先に集まる。 やがて、浩之の熱くたぎった欲望の象徴があらわれた。 「いくぞ、琴音……」 ひざに手をかけて腰をあてがい、狙いを定めて、ゆっくりと沈めていく。 「ああ!……ご主人さまぁ……」 琴音は艶やかな笑みをこぼし、シーツをぎゅっと握った。 ぞくぞくという快感が、浩之の背筋を昇っていく。 からみつき、まとわりつく、琴音の花弁の奥。 浩之の半分ほどで、一応の底にたどり着く。それほどまでに、琴音の花弁は幼い。 だが、加虐心が、抑えきれないほどに、どうしようもなくなっていた。 さらに奥へと進める。 「あ! いや……くる……おなかの中に、きます……」 ぎゅっと目を閉じて琴音は健気に耐える。 その姿に浩之の鼓動は高鳴っていく。 そして、一気に引き抜く。 「うっ! ああっ……いや……はあ……」 頭を振って、琴音は押し寄せてくる感覚に身をもだえさせる。 「ああ……ん……浩之さん……すごいです……いつもよりも……」 「……俺も……そんな琴音ちゃんを見てると……やばいな……」 琴音の中をほんの数回撫でただけで、浩之はくらくらとするほどの酩酊感を味わっていた。 「いいんです……もっと……私を犯してください、ご主人さま……!」 手を伸ばして、琴音が求める。 手を組んで、浩之は琴音の中を貪欲に犯す。 「あっ、あっ……あああ……」 琴音の脚が、浩之の身体を抱えるように閉じる。 後ろに身体をひけなくなった浩之は、そのまま浅いストロークを繰り返す。 「う……はぁ……」 その動きで、浩之の敏感な笠が、琴音の花弁の奥にあるざらざらとした襞で刺激される。 愛おしそうに、決して離さないとても言っているように……。 その中が、急に締め付けられた。 「んっ!」 退こうにも琴音の脚が邪魔をして、そのまま狭い中をこすりつけるしかない。 敏感な先端が粗いヤスリで削られていくような強烈な快感が、とめどなく浩之の身体に響く。 「はあ……琴音ちゃん……俺……」 「はい……そのまま、中に……」 琴音の脚に力が込められる。 「だ、ダメだって……」 だが、その言葉とは裏腹に、身体はいますぐにも快楽の逃げ道を求めていた。 「浩之さん……私も……だめ……だめ……あ……」 ぎゅうっと琴音の中が絞られていく。 浩之の身体が、まるで何者かに後ろから抑え込まれているように、動かない。 「やめろって、琴音ちゃ……あ……くっ……」 「はあ……いく……ああ!」 「う……はあ……ううっ!」 がくっと琴音の身体から力が抜ける。 浩之の身体もまた、支えられていた力が抜け、がくっと琴音の身体に崩れる。 そして、琴音と浩之のつながっている部分は、びくんびくんと強く脈をうち、やがてそこからは白い液が蜜と溶けあって流れ出した。 ☆ 「……私って、メイドに向いているんでしょうか?」 「向いてるっていうか、似合ってたよ。でもさ……なんか、恥ずかしいよな、『ご主人さま』って呼ばれたの」 「私は平気です。だって……」 「だって……?」 「だって……愛してますから」 屈託なく琴音は言った。 浩之は寝返りをうって琴音に背を向け、そして独り言をつぶやいた。 「……俺も、な」 「あの、何か言いましたか?」 「ああ、メイドの琴音ちゃん、エッチだなって」 「そんな、ひどいですよぉ」 琴音がぎゅっと浩之の背中をつねる。 痛がりながら、浩之は愉快に笑った。 [誕生日には、メイド服を着て FIN] |
◇P O S T S C R I P T◇ 「To Heart (Leaf)」の琴音の小説です。メンズコミック22(2000/10/08)で配布しました。 もともとLeafのゲームには縁遠かったのですが、いつまでも食わず嫌いは良くないだろうということで、「To Heart」は少しずつ進めていました。
夏コミが終わって少し時間ができたので再開したのですが、この時に攻略したのが琴音でした。 いつかは琴音小説を書きたい、と思っていたのですが、思いの外はやくその機会は訪れました。琴音の誕生日は10月9日です。おりしも、メンズはその前日。これは書くしかないぞ! と思い立ち、名古屋入りの前日に徹夜で書き上げました。そして、夜、名駅前のKinko'sでコピー、ホテルで製本。 そんなわけで、名実ともにメンズらしいコピー誌に仕上がったと思ったのですが、結果は惨敗に終わってしまいました。なかなか濃いものが書けたと思っただけに、残念です。 その翌日、お手伝いも兼ねて「来栖川家大運動会」に参加したのですが、同会場で「Leaf2000」というイベントもあり、思った通り、琴音お誕生日本がたくさんありましたので、ひさびさに買う楽しさを実感できました。 来年の話をすると千鶴さんが笑いますが、琴音オンリーイベントがあるとのことなので、参加しようか迷っているところです。どちらにしても楽しみなところです。 ちなみに「Adjust -the day before Mix」という題ですが、「the day before」はともかくとして、なぜ「Adjust」かと申しますと、服のサイズを合わせるという意味と、メイド服を着たからには自らをメイドに「合わせる」という意味をこめてつけました。 ◇補足と後日談◇2003.02.02 「Adjust -the day before Mix」というタイトルは、初出のメンズコミックでのタイトルでした。「FAKERHOLIC」所収の際に改題したのですが、裏表紙にはこちらのタイトルが書かれていましたので、それの説明になっています。 THの主人公(デフォルト)は「浩之」ですが、これを書いていた当時はむしろONEの二次創作の方が盛んでして、そちらの主人公(デフォルト)は「浩平」。これを取り違えるミスだけは絶対に避けたいと思ってはいたのですが……やっぱりやっちまっていたそうです、しかも「FAKERHOLIC」所収の際にエンバグで(爆死)。(※エンバグ……修正の際、正しい箇所に新たな不具合をつけてしまうこと)。公開版ではさすがに直してあります。 |