1
「ただいま……」
七梨太助は、いつものように少し憂鬱な顔をひきずって帰宅した。
靴を脱いで家に上がり、足早に自室へ向かおうとする。
するとその時、優美な服に身を包んだ少女が、太助の目の前にあらわれた。
「おかえりなさいませ、太助さま」
胸許の大きく開いた濃紺のワンピース、すこし短めのスカート。
フリルのついたエプロンとカチューシャ。
まさしく、メイド服と呼ぶにふさわしい格好。
そして……そのメイド服を着ているのは、ほかならぬシャオだった。
はぁ、と太助はため息をついた。
「……今日のは、なんだ?」
眉をひくつかせながら問う。
シャオはいつものやわらかい微笑みで応えた。
「仏蘭西風だそうです」
あっそ、と太助はわざと素っ気ない返事をした。
……シャオは最近メイドづいている。いや、メイドづいているのは最近に限ったことではないから、より正確には、メイド服づいていると言うべきか。
さる日曜日、昼頃にようやく起き出して、朝昼兼用のご飯を食べようと台所に入った太助は、そこにある光景に呆然として立ちつくした。
襟の付いた濃紺のワンピース、それも身体のラインをきちっと整えるような形、フリルのついたエプロン、カチューシャ……まるで中世欧州の貴族の館にでもタイムスリップしてしまったような格好をしたシャオが、楽しそうに料理をしてそこにいた。
「……あ、おはようございます、太助さま」
太助に気づくと、シャオはエプロンで手を拭きながら、笑顔で彼に向き直った。
そして、その場で固まっている太助に対し、きょとんという瞳を向けた。
「あの、太助さま……?」
シャオが太助に近寄ってきて、いつものように、鼻がくっついてしまうほど、顔を近づける。
その動作によって、太助は、ようやく意識の混乱を収束させることができた。
「……な、なんだ、その格好はっ!」
「メイド服というようですが……」
小首を傾けて、シャオが答える。
太助は声を荒らげた。
「そうじゃなくて、なんでそんな服を着ているんだ!」
「……お嫌いですか?」
急に悲しい顔をシャオが向ける。
その表情に、太助の追及のボルテージが急激に低下し、罪悪感がそれに取って代わった。
「い、いや、そういうわけじゃないけど……」
「太助さま」
ずいっと、シャオは太助の顔に、その貌を近づけた。
「太助さまをお守りするのが私の役目。ですが、私は、この世のことに疎く、いつも太助さまにご迷惑をおかけしてばかりいます。ですから……この世の事柄に早く慣れようと、まず形から入ることにしました」
いや、そんな……と、困惑した太助の言葉は、声にならない。
満面の笑みを見せて、シャオは続けた。
「ご主人さまをお守りする職のことを、この世ではメイドというと聞きました。ですから、メイドという職の格好をすれば、太助さまも、きっとお喜びになるかと思ったのです」
純粋な瞳。それだけに、太助は返答に窮した。
「……がんばって、くださいな」
そう言うのが精一杯で、太助はそのままリビングへ戻った。
仰々しい動作でソファに座り、腕を組む。
そして目をつぶる。
悪くない。
とても悪くはない。
一言にして言えば、とてもかわいい。
そうは思った太助であったが、それを口に出すことはできなかった。
「……夕飯は何時頃にしましょうか、太助さま」
玄関口につったったままの太助の目の前に、仏蘭西風メイド服をきたシャオの顔があった。
太助はのけぞって視線を逸らす。
すると、視界の中に、シャオのメイド服の胸許がとびこんできた。
シャオの白い胸、その谷間のはじまりが、あらわになっていた。
「……で、できたら、呼んでくれよ。じゃあな!」
「太助さま……」
顔を赤くした太助は、それを悟られまいと、シャオから逃げるように、階段を駆け上がっていった。
☆
夕飯の時に、それは起きた。
太助がみそ汁の椀を片手にぼおっとしていると、不意にシャオの声がした。
「太助さま?」
声は、椅子に座る太助の脇から聞こえてきた。
反射的に視線を下に移し、声のした方を向く。
そこには、床にひざまづいて太助を見上げる、メイド服のシャオの姿があった。
「どうかされましたか?」
明るく微笑んでいるシャオ。
しかし、太助の目はシャオの別の所にいっていた。
胸許が大きく開いているメイド服、そこからのぞくシャオの白い胸の谷間……。
「う、うわっ!」
太助は驚いて身体をのけぞらせる。
だが、その時、はずみで椀からみそ汁がこぼれてしまった。
「きゃっ!」
それは、シャオの服の胸のあたりにかかった。
反射的にシャオは手を胸にやる。
そして、服をつかむと、それを前に引っ張った。
……太助は、見た。
胸の谷間から続く、シャオの白い乳房を。
シャオは、ぱたぱたと音をたてて服をはためかせている。太助のことをまるで意識していないその動作は、天真爛漫そのもの。
だが、そのたびに白い胸がのぞく。
太助は視線を逸らすことができなかった。
「……すいません、着替えてきて、よろしいですか?」
すっくと立ち上がり、恥ずかしそうに笑ってそう言うシャオ。
「あ、ああ……」
気持ちが動転とするあまり、太助にはそう答えるしかできなかった。
☆
太助は自室の机に向かっていた。
今日の宿題、復習、予習など、勉強のレパートリーをことごとくこなそうとしたのだった。
気を紛らわすために……だが、そのもくろみは既に崩れてしまっていた。
部屋へ向かう途中、浴室の方からシャワーの音が聞こえてきた。
シャワーの音……シャオはまだシャワーを浴びているのだろうか……。
その時、湯けむりの向こうのシャオ、そして、そのシャオの胸が、太助の目の前にちらついた。
「……集中、集中!」
太助は首を横に数回ふって、それをうち払おうとした。
しかし、気を抜くと、ふたたびシャオの胸が浮かんでくる。
シャオの肌はミルクのように白く、それも、暖かさを感じさせるような白。それが緩やかな曲線を描いて首から鎖骨、胸へと……。
「……あああっ、もう! 寝る!」
頭を数回かきむしり、太助は力任せにシャーペンを机にたたきつけた。
そして、寝る支度をたちどころに済ませ、ベッドにもぐりこんで電気を消した。
目を閉じ、必死に眠ろうとする。
だが、目の裏からは、どうしてもシャオの乳房が離れなかった。
乳白色……前にオヤジに見せてもらった月長石っていう石は、たしかそんな色をしてたな……守護月天っていうくらいだから、やっぱりシャオの肌の色って……。
「……俺は一体、何を考えているんだよ!!」
掛け布団の中で身もだえる太助。
その時、カチャッという音がした。
びくっと身体を震わせ、太助はドアの方を向いた。
廊下の明かりが、半開きになったドアの隙間から漏れてくる。
「太助さま……」
シャオの声だった。
太助は電気をつけた。
白い襟のついた青いワンピース。先程よりもより緩いフリルのついたエプロンをつけ、胸許を貴石のついたブローチで飾っている。
よりトラッドな英国風のメイド服だった。
シャオは心配そうな貌を見せ、ベッドの脇に歩み寄った。
「お体の具合でも悪いのですか?」
「……違うよ」
「では、もう眠くなられたのですか?」
「違うよ」
「では、どうして……」
……がばっと布団をまくり上げ、太助はシャオに背中を向けた。
「ほっといてくれよ!」
「……すいません……」
その言葉の語尾が、うわずっていた。
「すいません……」
その言葉が、もう一度繰り返される。
「私がいたらないばかりに……太助さまのことを……」
シャオが立ち上がる気配がした。
そのまま、ドアの方へ去っていく。
「おやすみなさいませ、太助さま」
太助は、布団の中でぎゅっと拳を握り、そして、切り出した。
「待ってくれ、シャオ!」
「太助さま……?」
「シャオが悪いんじゃない。俺が……俺が悪いんだ」
「……ありがとうございます、太助さま。でも、私は太助さまを……」
「違うんだ、聞いてくれ。俺はさっき……シャオの胸を見たんだ」
部屋の空気が固まった。
「そしたら……それがずっと頭から離れなくて……。俺は、どうしようもない、サイテーなやつなんだよ!」
吐き捨てるように、太助は自分をののしった。
沈黙がしばらく続いた。
自嘲の笑みを浮かべ、太助はシャオの方を振り向く。
そこには、切ない表情をしたシャオが立っていた。
「太助さまも……やはり、男の方だったのですね……」
シャオは胸のブローチを外した。そして、エプロンも脱ぎ捨て、さらにブラウスのボタンを外していく。
やめさせることも忘れ、太助はシャオから目を離すことができなかった。
やがて、ブラウスの胸許が完全に開くと、シャオがは太助に向き直った。
ベッドの上で呆然としている太助の傍に腰掛け、その頭を優しくその腕で包む。
「太助さま……」
艶っぽい声でその名を呼び、胸に太助の顔を埋めさせる。
シルクでできた白く滑らかなブラジャー越しに、あたたかさとやわらかさが伝わる。
どうしていいのかわからず、太助はシャオのなされるがままになっていた。
そして、シャオは言った。
「私では役不足かも知れませんが、存分にお母さまのことを思い出してください」
……はぁ?
太助は顔を上げ、思わず真顔で問い返した。
シャオは、今までの艶っぽい瞳をすべてうち消すように、いつもの微笑みを見せていた。
「太助さまは、きっと、お母さまが恋しくなられたのですね。私ではお母さまのかわりはつとまらないと思いますが、今だけは、私をお母さまだと思って、甘えてください」
艶姿で、にこっと笑うシャオ。
「……そっか」
ははは、と太助は笑い、顔をシャオの胸に埋めた。
2
「いい匂いがする……シャオ……」
寄り添い、向かい合う形で、シャオと太助がベッドの上に寝転がっている。
頬を絹布に添わせる。
そして、両頬を胸に触れさせようと顔全体を胸の谷間に埋めたとき、太助は声を上げた。
「イテッ……!」
額にひっかかる痛みを感じ、驚いて顔を上げると、そこにはブラジャーのホックがあった。ワイヤーで編まれたそれは、プラスチック製のそれと比べるとシルクの高級感を出すのには最適だった。だが、痛いことにはかわりない。
おもむろにシャオは太助の額に唇を寄せた。
「大丈夫ですか、太助さま。いま、外しますから……」
そして、シャオは太助のすぐ目の前でホックを外した。
乳白色のシャオの乳房が、締め付けから解放される。
それは、繊細な曲線を描いていた。
愛らしい桃色の突起が、その先端で控えめにとがっている。
太助は言葉を失った。
その頭が、ふたたびシャオによって、今度は乳房そのものに押しつけられた。
ふにっ……という、やわらかい感触が直に伝わる。
太助は、幸せそうな表情をした。
まるで子供をあやすかのように、シャオは太助の頭を撫でている。
そのうちに、太助が切り出した。
「……触っていい?」
はい、とシャオは応えた。
太助は手をのばし、ブラウスをさらに開く。
シャオの両方の乳房が完全に外気にさらされた。
それは、仰向けになっていても、すこしも形をくずすことなく、美しい丘を描いていた。
シャオは頬を赤らめ、視線を逸らした。
その反動で、ふるんと、その乳房が揺れる。
太助の手のひらが、膨らみをつつんだ。
「んっ……」
ぐぐもった声をあげるシャオ。
こわれものを扱うかように、ひかえめな動きで太助はシャオの胸を触る。
「やわらかい……」
やがて、白い乳房に青い血管が浮かんできた。
太助の掌の動きも、だんだんに大胆さを増していく。
最初は、手を胸の上をすべらせる程度だったのが、やがて、シャオの乳白色の乳房をやさしく包みこんで揉みはじめた。
そのたびに、シャオは何かをこらえるかのような声をあげた。
そのうちに、ふとあることに気がつき、太助は手を胸から離した。
乳房の先端の突起、それが完全に勃起して赤みを帯びてそこに形づいていた。
それはもう乳首と呼ぶべきものだった。
「あっ……」
ほんのり貌を赤く染めていたシャオの顔が、さらに赤くなる。
太助はシャオに顔を近づけて尋ねた。
「シャオ……吸ってもいい?」
……ちゅぱっ、ちゅぱっという音をたて、太助が無心にそれを吸っている。
シャオは目を閉じて口許を締め、手をベッドに突っ張って何かに耐えていた。
四つん這いになっているシャオ、その下に、太助が仰向けに寝ている。
メイド服からこぼれているシャオの乳房、それが引力に導かれるままに美しい放物線を描いて垂れ、太助の顔の前にさらされている。
その先に、太助の唇があった。
まるで赤ん坊が母の乳房を求めるように、太助はシャオの乳首を吸いあげていた。
片方の手で吸っている方の乳房を支え、もう片方の手は、空いている乳房に。
そして、かたくしこったシャオの乳首を撫でる。
シャオは身体をびくんと震わる。
それがおもしろくて、太助は何度も何度もそれを繰り返した。
やがて、太助は唇を赤みを帯びた乳首からはなす。
太助の唾液に濡れたそれは、きらきらと輝いていた。
おもむろに、太助は、いままで手で遊んでいた方の乳首を、口に含んだ。
「あっ……!」
それまで聞いたことのない声を、シャオは発した。
「シャオ……?」
不審に思い、太助が顔を上げる。
呼吸を乱し、すっかり上気した顔を見せながらも、シャオは落ち着いた口調で言った。
「い、いえ、なんでもありません。どうぞ、太助さま、つづけてください……」
唇が、ふたたびシャオの乳房を求める。
その時、不意に太助は手をシャオの細い腰に回した。
びくっと、シャオの身体がはねる。
あわてて太助は手を離した。
「ご、ごめん……」
「いいえ、太助さま、どうぞ甘えてください……」
許しを得て、ふたたび腰に手をまわし、そして、ためらいがちに、シャオのもう一つの双丘へとすべらせていく。
やわらかくも弾力のある感触が、ざらざらという布地越しに伝わる。
なんとなく罪悪感を感じ、太ももからひざへとその手を下ろした。
すべすべとして張りのあるシャオの脚を撫でる。
やがて、再び手を腰に戻そうとした時、はずみで太助はシャオの乳首を軽く噛んでしまった。
「ああっ……!」
シャオの身体が急にのけぞる。
そのせいで太助の腕はスカートの中へ滑り込んでしまい、シャオの脚の間に入ってしまった。
シャオの太ももはさらにやわらかく、あたたかく、そして……。
「……なんだ、ここ、濡れてるぞ?」
ぬるりという感触が伝わった。
その言葉にはっとして、シャオが太助の方を向く。
その顔には困惑の色が見えた。
「あ、あの……それは……」
それを心配と受け止め、太助は笑顔で言った。
「心配するなって。俺が見てやるよ」
3
シャオが、ベッドに仰向けになっている。
メイド服を着ているとはいえ、ブラウスの胸許は無惨にも開き、桃色に上気した胸がツンとそらを向いている。
そして、細く華奢な両の脚は、まるでMの字を描くように、おおきく開かれていた。
スカートはめくりあげられ、脚の付け根に咲いている花びらをさらしていた。
花びらと向かい合うように、太助の顔がある。
シャオは左の人差し指を口に含み、視線を逸らしていた。頬を真っ赤に染め、どうしていいかわからないという羞恥と可憐さが混ざったような複雑な顔をしている。
へその窪みから続く滑らかな曲線、そこにはまるで陰りがなく、乳白色の……いや、今は上気して薄桃色に染まった肌と同じ色が、シャオの花びらと形容されるそれに続いている。花びらは肌の色をより濃くしたような桃色で、花びらの合わせ目には、白い真珠がわずかにのぞいているのが見えた。
その花びらが、控えめに開いている。
太助は、指でさらにそれを割り広げた。
「太助さま、恥ずかしいです……」
「なんか不思議な感じだな、これ……」
好奇心を隠せないという口調で、太助は言う。
シャオの花弁はてらてらと輝いていた。
花びらのはざまに潜んでいた泉からはこんこんと水が湧き、それが谷をつたってシャオのもう一つの花へと流れおちている。
ふいに、太助の指が、シャオの隠れている真珠に触れた。
「んん!」
シャオは指をぎゅっと噛む。
「……あ、なにか隠れてるんだ」
太助の指が、やや乱暴に、シャオの真珠を包む薄皮を剥いた。
「あっ……」
完全に露出した真珠は、太助の目の前でさらにその大きさを増した。
それを、指で撫でる。
「ああっ!」
指をくわえるだけでは強烈な刺激に耐えきれず、シャオは声を上げて身体をよじった。
だが、そのシャオの反応を面白がるかのように、太助の指は、何度もそこを撫でた。
「あっ……はぁはぁ……あんっ……うぅ……」
両手でシーツをつかみ、シャオは、泣き出しそうな顔で必死にこらえていた。
その一方で、太助に見つめられているシャオの花弁は、まるで独立して動く生き物のようにうごめいていた。真珠を撫でるたびに、すっかり赤く染まった花びらが動き、泉が水をあふれさせていく。
「すごいや……」
太助は感嘆のため息をつく。
そして、泉からあふれるシャオの水を指ですくい、口に運んだ。
やや顔をしかめる。
「しょっぱい……けど、なんか……」
太助は、唇をシャオの花びらに寄せた。
「……あはあぁ!」
ひときわ大きな声を上げるシャオ。
太助はシャオを見た。
シャオは、艶っぽく輝く潤んだ瞳を、太助に向けていた。
「太助さま……シャオはもう……」
「シャオ……」
「太助さまのお好きなようになさってください……」
☆
……太助の舌が花びらをくすぐる。
「あはっ……ああ、あたたかいです……太助さまぁ……」
顔を、M字型に開いたシャオの脚の付け根に寄せ、一心不乱にそこを舐める太助。
シャオは身をよじってそれに応えた。
もう、自分を偽ることなく、そこからあふれ出る感覚、それに身も心も捧げているようだった。
「あん、太助さま……もっと……もっと……」
せがむシャオ。
それに鼓舞されるかたちで、太助の舌の動きがさらに早くなる。
喘ぎ声も、早くなる。
「ああっ、はぁはああ……いいです……太助さまぁ……」
太助はシャオの泉に口をつける。
その間も、固くなった真珠を指で撫でている。
太助の舌が、泉の中をむさぼりはじめた。
「ああぁぁ……!」
身体の奥から、熱い何かがこみ上げてきた。
真珠を撫でられるたび、花びらに舌が這うたび、シャオはシーツをぎゅっとつかんだ。
「太助さま……シャオは……シャオは……!」
その言葉に、太助は指と舌の動きをさらに早くする。
すっかり露出しきった真珠は太助の唾液とシャオ自身の露にまみれ、指の動きをなめらかにしていた。
指におのずと力が入る。
「うぁああ!……ああ、ダメです……ダメ……太助さまぁ……!」
シャオの背中が自然に弓なりに反り返る。
「イキます……イッちゃいます……ああっ、太助さま……太助さまぁぁぁああ!」
……ビクンビクンと何度もシャオの身体が跳ねる。
太助が顔をあげると、そこには、目をつぶって快楽に身を委ねているシャオの姿があった。
「シャオ……」
はぁはぁ、と余韻をこらえながら、呼吸を整えている。
ややあって落ち着いたシャオが、恥ずかしそうな顔で言った。
「……太助さま……すいません」
太助もその言葉を聞いて我に返り、頭を掻いて視線を落とした。
「い、いや……その……」
すると、シャオが太助の目の前に顔を近づけた。
艶っぽい瞳で、太助に向かう。
「今度は、私が……」
4
着衣をすべて脱がされた太助は、緊張のおももちでそこにいた。
ベッドに仰向けになって寝ているが、枕を頭の下にしいているので、自分の身体は見ることができる。
太助の脚の間には、シャオがいる。メイド服の胸許は開いたままで、そこから白い胸がこぼれていた。
「太助さま、いきますよ……」
屹立し、血管の浮いた太助のそれを、優しく手で握る。
ぞくっという感覚がはしった。
シャオの手によって、その包皮が完全に剥かれ、敏感で真っ赤な先端が中からあらわれた。
それにシャオが顔を近づけ……。
「……うぐっ!」
シャオの口の中にすっぽり包まれた。
あたたかく、やわらかい感触が敏感な部分を這う。それは太助にとって初めての感覚だった。
頬をへこませながら、幾度となく、シャオはそれを口と唇でしごいた。
「うっ……ぐっ……う……」
未知の感覚に、太助は身をよじる。
やがて、ちゅぽんという音と共に、それが口から抜かれると、今度はぬるぬるになったそれに手が添えられた。
上下にしごかれはじめる。
「んうう!……シャオ……う……ぐっ……」
「太助さま、気持ちいいですか?」
潤んだ瞳でシャオが太助を向く。
「う……ぐはっ……」
太助は声にならない声を返すだけだった。
シャオは再びそこに唇を寄せた。
太助の敏感な箇所に舌を這わせ、天頂のちいさな穴をむさぼり、張りつめていて今にも切れそうな弦を吸い上げる。
片手ではそれをしごき、もう片方では根本でうごめくやわらかい袋をこねる。
「……うう……はあぁ、シャオ、俺……」
そして再び、シャオの口にそれは包まれる。
手は依然とそれをしごき、そして、露出させられた敏感な部分も唇で刺激されていた。
「ふふ……はぁ……くっ……ふう……」
腰を動かし、何かが襲ってくる感覚に、太助はこらえようとしていた。
……はむっと音がするかのように、突然、シャオが太助のそれを軽く噛んだ。
「うぐっ……!」
首を横に振り、必死に耐える太助。
だが、それを見透かすように、シャオは口を離し、かわりに掌でそれを強くしごきはじめた。
「うっ……シャオ……シャオ……!」
「太助さま、私はここにいますから……」
ふふっと可愛らしくシャオは笑った。
太助のそれが、一段大きくなる。
太助は思わず目をつぶった。
「うう……ダメだ、シャオ……」
震えるような弱々しい声に、シャオは愛おしそうに太助のそれを口に含んだ。
「ああ……でちゃう……シャオ……シャオぉ……!」
……シャオの口内に、太助の快楽の証が注がれる。
シャオは顔を天に向け、白い喉をさらすと、それをゴクンといわせた。
☆
程なくして、太助のそれは回復した。
やや疲れを見せている太助に対し、メイド服を着たままのシャオが馬乗りの体勢になる。
シャオの乳房が揺れる。
太助はそれに手を伸ばした。
「あっ……」
初めてのときよりも強く、それをもてあそぶ。
「ああ、太助さまぁ……」
シャオは喘ぎ声をあげながら、スカートを少したくし上げ、身体をやや引いた。
腰をゆっくりと落としていく。
太助の敏感な先端に、ぬるっという感触が走った。
シャオの花びらが触れているのがわかった。
それは口の中よりも熱く、そしてやわらかいものだった。
「いいですか、太助さま……」
シャオの問いかけに、太助はうなずく。
ゆっくりとシャオが腰を落としていく。
それと同時に、あたたかく、ぬるっとした感触が、太助のそれを包んでいく。
「うう……」
「あはぁ……」
言葉はちがえども、同じ感覚……快楽が走っている。
ぴちゃっ……。
太助のそれの根本に、シャオの花びらが触れる。シャオの中に完全に飲み込まれた瞬間だった。
それと同時に、奥の方で抵抗を感じた。それがシャオの泉の最深部であった。
「太助さま、動きます……」
シャオの腰が上下に動き始めた。
口とは違う快楽がはじまる。
ぎゅっと締め付けられ、ザラザラという感触が、太助の脳天をつく。
そして、シャオの胸も、激しく揺れはじめる。
快楽に耐えながら、すがるように、太助はシャオの乳房に手を伸ばした。
「ああっ!」
シャオは崩れるように上半身をかがめ、ベッドに両手をついた。
シャオの顔が快楽に歪んでいる。
半開きになった口許から、唾液がつたっている。
太助はつんととがったシャオの乳首をつまんだ。
こたえるように、シャオの腰の動きは、激しさを増した。
太助も、シャオの動きに同調するように、腰を振った。
そして、その時が訪れる……。
「シャオ……俺、また……」
「太助さま……私も……そのままで……ああ……」
目の前の風景がかすんできている。
「……ああ、太助さま、イキます……イッてしまいます……!」
シャオの中がうごめき、太助のそれを搾り取るように動いた。
「うわ……シャオ……ダメだ……ううう……!」
「太助さま、太助さまぁ……ああああ!」
「シャオ……うううあああ!」
……太助の熱いものが、シャオの中で弾けた。
二人の動きがとまる。
太助は快楽のままに放出し、シャオは快楽のままにそれを受け止めている。
やがてそれがおさまると、どちらともなく、ふうと深く息を吐いた。
シャオが体勢を崩し、太助に添う。
「太助さま……」
すると、急にシャオの頬に涙が伝わった。
「シャオ?」
シャオは涙を拭い、そして笑顔で言った。
「……太助さまが、いけないんですよ。私に……人のあたたかさを思い出させたから……」
「シャオ……」
シャオの唇に唇を重ねる。
そして、太助は言った。
「……孤独やさみしさから俺を守るのがシャオの役目なら、俺も……孤独やさみしさから、シャオを守ってやりたいんだ……」
「太助さま……!」
シャオがぎゅっと太助の身体を抱く。
太助もまた、シャオの華奢な身体を優しく抱きしめるのだった。
【月華露 劇終 -Moonlight Drop- END】
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