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Soeur Caressante
type DEEPER
2000.01.30初出 
text and edit by 成瀬尚登

「……お兄ちゃん……」

 その唇は、桃色に淡く輝いていた。

 吐息……ずっと感じていた芳香、それは乃絵美の身体から香ってくる桃の甘美な香りだった。

「お兄ちゃん……」

 艶やかに輝く唇が、もう一度、熱っぽく言葉を放つ。

 その口許に、正樹は軽い酩酊感を味わった。

 乃絵美は立ち上がると、そのまま、しだれかかるように、正樹の胸に顔を埋めてきた。

「のえ……!」

 はっとして、正樹は乃絵美の華奢な肩をつかむ。

 乃絵美は顔を上げると、おもむろに正樹の首へ腕をまわした。

 そして、突然のことで反応できない正樹の唇に、桃色の唇を重ねた。

「ん……!」

 正樹は目を見開いて驚く。

 すると、なにがどろっとしたものが、正樹の口の中に流れこんできた。

 濃厚な甘いそれは……蜂蜜。

 次の瞬間、正樹の身体から、力が抜けた。

 がくっと体勢を崩しながらも床に手をつき、呆然として乃絵美を見上げる。

 乃絵美のその瞳は、愛おしそうに正樹を見つめていた。

 起きあがろうとして身体に力を入れる。

 しかし、身体に少しも力が入らなかった。

 正樹の目の前に、白い陶器の小瓶がさしだされた。

 左手が正樹の頬からあごへと伸び、なされるがままに口を開けさせられると、乃絵美は、その小瓶を正樹の口へと傾けていった。

 闇の中で飴色に輝く蜂蜜が、とろりと、口の中へ流れこんでいく。

 やがて、乃絵美は小瓶を起こした。

「お兄ちゃん、美味しいよ。飲んで」

 無邪気さのなかに妖しさを秘めた声で、乃絵美は言う。

 正樹はそれを拒もうとした。

 だが、彼の身体は、意志に反して、それを嚥下した。

 心の中で愕然とする正樹を愛おしそうに見つめながら、乃絵美は微笑んだ。

「お兄ちゃんに、見て欲しいの……乃絵美の身体……」

 そう言うと、乃絵美は腕をみずからの背にまわし、結び目をほどいてエプロンを脱いだ。

 胸許の黄色いリボンに手をかけ、リボンをとめていたボタンを片手ではずす。

 乃絵美の胸許がおおきくはだけた。

 正樹は目を背けた……いや、背けようとした。

 だが、正樹の目はしっかりと乃絵美の胸許へと向かっていて、動こうとしなかった。

 乃絵美は床にひざをつき、正樹と目の高さを同じくした。

 みずからを抱きしめるかのように腕を交差させて両肩におき、腕に滑らせるように服をずらしていく。

 そして、恥ずかしそうに腕を解いた。

「見て、お兄ちゃん……乃絵美の胸、こんなにふくらんだんだよ……」

 乃絵美の胸のふくらみが正樹の目の前で微かに揺れる。それは決して大きくはなかったが、明らかに乳房と呼べるものだった。

「さわって、お兄ちゃん」

 正樹が拒もうと腕に力を入れようとする。

 だが、腕はなおも意志に反し、乃絵美の言葉どおりにその乳房へと伸びていった。

 優しく包み込む。乃絵美の胸のふくらみは、正樹の手にあまるほどだった。

 それは、いままで感じたことのない、やわらかさだった、

「あン……」

 乃絵美が喘ぐ。

「続けて……」

 正樹の手が乃絵美の胸をこねはじめる。

 手の中に、至福のやわらかさが踊る。

「あ……あ……」

 乃絵美の呼吸があらくなってくる。

 手をすべらせると、胸のふくらみの先端が、かたく突起していた。

「そこ、いじって、お兄ちゃん」

 正樹の人差し指が桃色の頂上に伸び、転がすようにもてあそぶ。

 その刺激に、乃絵美が身体をのけぞらせる。

 ふるん、と乃絵美の胸が、正樹の視界の中で小さく揺れた。

「あっ……ふぅ……はぁ……切ない……切ないよぉ、お兄ちゃぁん……!」

 断続的な荒い呼吸を繰り返す乃絵美。

 やがてそれに耐えきれなくなったのか、正樹の手を下ろし、がくっと落とした肩で息をする。

「はぁ……こんどは……こっち……」

 乃絵美は、持っていた正樹の手を、みずからのスカートの中へと導いていった。

 どうすることもできず、正樹は息をのむ。

 やがて、指先に、ぬるぬるとした温かさが伝わった。

「あっ、そこ……乃絵美の大切なところ……お兄ちゃんに触って欲しいの……」

 乃絵美の言葉のままに、正樹の指がそこをなぞりはじめる。開ききった乃絵美の花弁から溢れる蜜が、指にからみついてくる。

 ぴちゃぴちゃという音が耳に届く。

「恥ずかしい……」

 頬を真っ赤にして乃絵美が恥じらう。

 指は花弁をたどり、やがて合わせ目にある乃絵美のしこった芽を撫でた。

「あああっ!」

 細い身体をよじって乃絵美は叫ぶ。

 正樹の指が、そこに狙いをさだめる。

「くぅん……あん……ふう……はあ……ああ……!」

 少しずつ、乃絵美の声が高くなっていく。

 指先の動きが早くなる。

「いやあぁ! だめっ……だめ……いっちゃう……いっちゃう……お兄ちゃん……ああ……あああ!」

 次の瞬間、白いのどをさらけだして身をかたくしたかと思うと、乃絵美の身体はがくっと崩れた。

 床に腕をついて、肩で息をする。

「……お兄ちゃんに……恥ずかしいところ……みられちゃった……」

 独り言のように、乃絵美が言う。

「だから……お兄ちゃんも……」

 乃絵美はまたも無邪気さと妖しさがまざりあった微笑みを見せた。

 

 

 裸の正樹が床の上で仰向けになっている。

「……ここだけが、お兄ちゃんじゃないみたい……」

 自らの情けなさに、ぎゅっと唇を噛む。

 またの間には、乃絵美が、正樹の屹立しきったそれを、感嘆しながら手で弄んでいた。

 正樹の服が、そのわきにていねいに畳まれてそこにある。着衣はすべて……みずからの意志に反してみずからその場で脱いだのだった。それを乃絵美が楚々として畳んだのだった。

 乃絵美が正樹のそれを両手で包み込む。

「熱い……」

 たとたどしい手つきで、正樹のそれを撫でまわす。

 熱いまなざしで見つめている乃絵美の鼻先で、正樹のそれは力強く脈をうっていた。

 やがて、乃絵美は舌を出し、おそるおそる正樹の敏感な先端に当てた。

 ぞくっという不思議な感覚が、正樹の背中を走る。

 天頂へ向かって、舐め上げる。

「……お兄ちゃんの味がする……」

 強すぎる感覚に、正樹は身体を震わせる。

 さらに幾度も乃絵美がそれを舐めると、やがてそれは乃絵美の唾液できらきらと輝きだした。

「……そうだ」

 乃絵美は身体を後ろへ反らせ、ある物を手にして姿勢を戻した。

 それは、蜂蜜の入った小瓶だった。

 狙いを、正樹の先割れにさだめて、蜜がたらされる。

 蜜の冷たさが、乃絵美に慈しまれた正樹のそこを浸していく。

 先端が蜜に包まれるくらいで注ぐのをやめ、乃絵美は小瓶を脇へ置いた。

 再び正樹のはちきれそうなそこへ顔を近づけ、口の中に納ていく。

「んぐ!」

「ふう……はあ……」

 くちゅっ、という淫らな音が響く。

 からみついた蜜を削り取るように、乃絵美の唇と舌がうごめき、正樹を刺激していく。

「くっ……ぐあ……くう……うっ……」

 まるでアイスキャンディーを舐めているかのように、舐め、しごき、削り、吸い出し……。

 正樹は背中を浮かせ、連続する快感に耐えようとした。

 その時、乃絵美の手が正樹の幹へと伸びた。

 そして、おもむろにしごきはじめる。

 突然の攻撃に、正樹は声をあげようとする。

「ぐはっ……ぐ……ううう……ぐ……」

 だが、喉から出る音が言葉にならない。

 口だけが大きく開いたまま、正樹は一気に押し上げられていった。

「……お兄ちゃん、乃絵美の前で。ね……」

 正樹のそれから口を離すと、乃絵美は意地悪な口調で言う。

 屈辱のあまり、ぎゅっと目をつぶる。

「……目を開けて、お兄ちゃん」

 だが、それを見透かすように、乃絵美は「命令」した。

 視界に、なぶられている自分のそれがまた入ってくる。

 乃絵美の手の動きが、痛いほどに早くなる。

「あ……あ……!」

 欲望が、正樹の根元で爆発しそうなほど高まっていく。

 それをさらにうながすように、乃絵美の手が強く握られた。

「ふぐっ……んぐ……うう……ああああ!」

……自分の先端から、白い液が飛び散っていく。

 勢い良く跳ねたそれは、乃絵美の頬を濡らし、みずからの腹を濡らす。

 そして、白い液はなおもほとばしり、とめどなく自らの幹を流れおちていく。

「ふふ……お兄ちゃんも、乃絵美の前でいっちゃった……」

 悔しさに、正樹の目から涙がこぼれた。

 乃絵美は嬉しそうに、いまだ脈打つ正樹のそれに舌を這わせ、液をなめとりはじめたのだった。


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